クリーンエネルギーで地域を活性化

事例紹介

秋田県内の農業水利施設を活用した小水力発電

西目発電所
目的

 西目発電所は、秋田県南部、日本海沿岸に位置する由利本荘市西目町の水田面積450haを受益とする西目地区県営かんがい排水事業(昭和56年~平成2年)により建設されました。かんがい排水事業の幹線用水路における急斜面の落差を利用し小水力発電を行うことにより、土地改良施設の維持管理費の軽減を図るとともに、農産物の生産コストを引き下げ、農業経営の安定を図ることを目的に設置されました。

概要

 本発電所は、かんがい用水を発電に利用するもので、上流部の水源を1カ所の四角井戸ため池に集約し、ここを起点として、2ヶ所のため池を経由後、上巾水路(L=8.5km)により標高295~175mの丘陵分水嶺付近を北流し、水路末端の急斜面を経て標高47mの放水庭に至る水路式発電所です。
 平成元年の稼働から、経年変化による施設本体の劣化、平成24年7月から固定価格買取制度の導入等を契機に、施設本体の更新工事を平成28年6月から平成29年3月まで行い、新たな売電単価で再稼働しています。

項目 諸元
総落差 122.57m
使用水量 0.7m3/s(最大)
発電出力 740kW
年間発電量 299.3万kWh(一般家庭の200軒分※1の年間使用電力量)
水車形式 横軸単輪単流渦巻フランシス水車

※1 一般家庭年間使用電力量3,600kWh(出展:原子力・エネルギー図面集2015)

六郷東根小水力発電所
目的

 六郷東根小水力発電所は、秋田県南部、仙北平野南東部に位置する仙北郡美郷町にあり、一級河川雄物川水系丸子川を水源とする農地約597haに農業用水を供給している六郷東根幹線用水路の中流部に設置されています。
 土地改良区の維持管理費軽減と受益者の農家負担軽減を図り、地域農業の振興と農村の活性化を促進するため、平成27年度に県営事業で小水力発電施設を整備しました。

概要

 農業用水として、関田頭首工から取水し、関田円型分水工で分水され、かんがい期0.880m3/s、非かんがい期0.293m3/s(発電用水増量分0.407m3/s)の水量があり、最大0.700m3/sの水量を発電に使用しています。
 県営事業により、六郷東根幹線用水路(総延長約1,153m)の内、約100m区間を布設替して落差2.81mを確保し、出力11.0kWの発電を実現します。
 水車形式は縦軸スクリュー水車で、農業水利施設を活用した小水力発電施設(マイクロ発電)としては県内第1号となります。

項目 諸元
総落差 2.81m
使用水量 0.700m3/s(最大)
発電出力 11.0kW
年間発電量 5.7万kWh(一般家庭の16軒分※1の年間使用電力量)
水車形式 縦軸スクリュー水車

※1 一般家庭年間使用電力量3,600kWh(出展:原子力・エネルギー図面集2015)

 
畑野小水力発電所
目的

 畑野小水力発電所は、秋田県南西部に位置するにかほ市象潟町にあり、二級河川白雪川水系白雪川を水源とする農地約288haに農業用水を供給している金浦幹線用水路の温水路上流に設置されています。
 土地改良区の維持管理費軽減と受益者の農家負担軽減を図り、地域農業の振興と農村の活性化を促進するため、平成27年度に県営事業で小水力発電施設を整備しました。

概要

 農業用水として、畑野頭首工から代掻最大0.465m3/s、普通期および非かんがい期0.404m3/sを取水しており、1年を通じて0.404m3/sの水量を発電に使用しています。
 県営事業により、ヘッドタンク※2を新設し、延長約700mの管水路を管理道路下に埋設して、約20mの落差を利用した出力42.7kWの発電を実現します。
 水車形式はチューブラ式プロペラ水車で、農業水利施設を活用した小水力発電施設(マイクロ発電)としては県内第1号となります。
※2 開水路(静水池)と管水路を結ぶ施設で、余水吐の機能も兼ねる水槽。

項目 諸元
総落差 20m
使用水量 0.404m3/s(通年)
発電出力 42.7kW
年間発電量 36万kWh(一般家庭の100軒分※3の年間使用電力量)
水車形式 チューブラ式プロペラ水車

※3 一般家庭年間使用電力量3,600kWh(出展:原子力・エネルギー図面集2015)

 
真木関根小水力発電所
目的

 真木関根小水力発電所は、秋田県南東部、仙北平野北東部に位置する大仙市太田町にあり、一級河川玉川水系 斉内川を水源とする農地約247haに農業用水を供給している真木関根幹線用水路の上流部に設置されています。
 大仙市は農業用水を活用した小水力発電を導入することにより、地球温暖化防止及び環境保全に貢献している取組をPRしながら、公共施設の維持管理費等への売電収入を充てるなどコスト削減を図ることを目的に、平成29年度に県営事業で小水力発電施設を整備しました。(県内初の小水力発電事業者となっています。)

概要

 農業用水として、真木関根頭首工から代掻最大1.578m3/s、普通期1.211m3/s、非灌漑0.60m3/sを取水しており、最大1.211m3/sの水量を発電に使用しています。
 県営事業により、幹線用水路の一部の既設落差工を利用して発電落差工を新設し、発電水車を設置し出力18.0kwの発電を実現します。
 水車形式は縦軸スクリュー水車で、農業水利施設を活用した小水力発電施設(マイクロ発電)となっています。

項目 諸元
総落差 2.54m
使用水量 1.211m3/s(通年)
発電出力 18.0kW
年間発電量 9.7万kWh(一般家庭の27軒分※1の年間使用電力量)
水車形式 縦軸スクリュー水車

※1 一般家庭年間使用電力量3,600kWh(出典:原子力・エネルギー図面集2015)

 
山崎小水力発電所
目的

 山崎小水力発電所は、秋田県南部に位置する由利本荘市鳥海町にあり、一級河川子吉川水系子吉川を水源とする農地約160haに農業用水を供給している上川内堰幹線用水路から分水した山崎用水路に設置されています。
 土地改良区の維持管理費軽減と二酸化炭素排出削減を図ることを目的として、令和2年度に県営事業で小水力発電施設を整備しました。

概要

 農業用水として、上川内堰頭首工から代掻最大0.60m3/s、普通期0.45m3/s、非灌漑期0.20m3/sを取水しており、最大0.20m3/sの水量を発電に使用しています。
 県営事業により、用水路の一部の既設落差工を利用して発電用管水路工を新設し、発電水車により出力5.2kWの発電を実現します。
 水車形式は縦軸スクリュー水車で、農業水利施設を活用した小水力発電施設(マイクロ発電)となっています。

項目 諸元
総落差 5.69m
使用水量 0.2m3/s(最大)
発電出力 5.2kW
年間発電量 3.8万kWh(一般家庭の11軒分※1の年間使用電力量)
水車形式 縦軸スクリュー水車

※1 一般家庭年間使用電力量3,600kWh(出典:原子力・エネルギー図面集2015)

 
美郷本堂地区小水力発電所
目的

 美郷本堂地区小水力発電所は、秋田県南東部、仙北平野北東部に位置する仙北郡美郷町にあり、一級河川雄物川水系玉川を水源とする農地約9,029haに農業用水を供給している1号幹線用水路から分水したパイプライン下流部に設置されています。
 土地改良区の維持管理費軽減と二酸化炭素排出削減を図ることを目的として、令和4年度に県営事業で小水力発電施設を整備しました。

概要

 農業用水として、玉川頭首工から代掻最大24.332m3/s、普通期22.791m3/s、非灌漑期8.00m3/sを取水しており、最大0.871m3/sの水量を発電に使用しています。
 県営事業により、パイプラインの高低差を利用して発電用管水路工を新設し、発電水車により出力49.7kWの発電を実現します。
 水車形式は縦軸インラインプロペラ水車で、農業水利施設を活用した小水力発電施設(マイクロ発電)となっています。

項目 諸元
総落差 16.24m
使用水量 0.871m3/s(最大)
発電出力 49.7kW
年間発電量 28.8万kWh(一般家庭の80軒分※1の年間使用電力量)
水車形式 縦軸インラインプロペラ水車

※1 一般家庭年間使用電力量3,600kWh(出典:原子力・エネルギー図面集2015)


 
上巾小水力発電所
目的

 上巾小水力発電所は、秋田県南西部に位置する由利本荘市西目町にあり、四角井戸ため池を取水源とする農地約450haに農業用水を供給している上巾幹線用水路に設置されています。
 土地改良区の維持管理費軽減と二酸化炭素排出削減を図ることを目的として、令和5年度に県営事業で小水力発電施設を整備しました。

概要

 農業用水として、代掻最大0.60m3/s、普通期0.572m3/s、非灌漑期0.46m3/sを取水しており、最大0.46m3/sの水量を発電に使用しています。
 県営事業により、用水路の一部の高低差を利用して発電用管水路工を新設し、発電水車により出力46.0kWの発電を実現します。
 水車形式はプロペラ水車で、農業水利施設を活用した小水力発電施設(マイクロ発電)となっています。

項目 諸元
総落差 25.23m
使用水量 0.46m3/s(最大)
発電出力 46.0kW
年間発電量 34.5万kWh(一般家庭の95軒分の年間使用電力量)
水車形式 プロペラ水車

※1 一般家庭年間使用電力量3,600kWh(出典:原子力・エネルギー図面集2015)


 
仙平太田斉内小水力発電所
目的

 仙平太田斉内小水力発電所は、秋田県南東部に位置する大仙市太田町にあり、一級河川雄物川水系玉川を水源とする農地約9,029haに農業用水を供給している1号幹線用水路に設置されています。
 土地改良区の維持管理費軽減と二酸化炭素排出削減を図ることを目的として、令和5年度に県営事業で小水力発電施設を整備しました。

概要

 農業用水として、玉川頭首工から代掻最大24.332m3/s、普通期22.791m3/s、非灌漑期8.00m3/sを取水しており、最大3.00m3/sの水量を発電に使用しています。
 県営事業により、用水路の一部の既設落差工を利用して発電落差工を新設し、発電水車を設置し出力43.4kwの発電を実現します。
 水車形式は開放型らせん水車で、農業水利施設を活用した小水力発電施設(マイクロ発電)となっています。

項目 諸元
総落差 2.31m
使用水量 3.0m3/s(最大)
発電出力 43.4kw
年間発電量 25.9万kw(一般家庭の72軒分の年間使用電力量)
水車形式 開放型らせん水車

※1 一般家庭年間使用電力量3,600kWh(出典:原子力・エネルギー図面集2015)